童話やディズニーでご存知のお話。
「野獣の姿でも、愛し愛される事が出来たら人間に戻れる」という呪いを受けた王子と、本好きで周囲から浮きまくってる
ベルが出会い、色々あったものの、ついにはその呪いを解いて結ばれる〜というやつです。
ヒロイン・ベルに云い寄る猟師ガストン。実はこいつがストーリーを進めている感があるキャラです。
とにかく「自意識過剰」で「自信過剰」で「自己中心的」が服着て歩いてる、というやつ。そのくせもてる。
なぜだ。村には他に男がいないのか。っつか、みんな彼の機嫌を損ねないようにしてるため、余計つけあがってるという。
はい、わかりやすい人です(笑)。胸板を強調するような衣装といい、途中でみせる「胸毛」といい(おそらくカツラ)肉体派
一直線〜。日本人にはあまり「胸毛」は受けませんし、ある人も多くはないようですが…ブロードウェイでの役者さんは、
地毛だったのでしょうねえ。アチラは「胸毛」も大事なポイントらしいし。
「親衛隊GIRLS」をしたがえて、「もてる」設定のはずなのに、「お姫様だっこ」をしてやる相手は子分のルフウ(♂)が一番
多いの(笑)。なぜなのか。これも女性向けを意識して…るわけはありませんね。
野獣(ビースト)。オープニングで、「思いやりのない」、「甘やかされて育った」と云われてる人(?)。
召使たちからも、「癇癪はおさえるように」と忠告を受けたり。
最初、どんなに「やなやつ」だろうかとわくわく(笑)してたのですが、何のことはない「訓練不足」なお子ちゃまでした。
「先に城に迷い込んできた為に閉じ込めた父を解放してやる代わりに、お前が城にとどまれ」とベルを城におくのですが
…ベルとのからみや、召使たちのアドバイスを聞いてるとこなんて、「おばか」な所が、めっさ可愛いです。顔はこわいけど。
人間の顔してない分、「わんこ」率も高し(大違)。ベルも「お手」くらい仕込んでくれたら…(だから違うって)。
野獣の召使たち。「王子を甘やかしたおして育てた報い」として、王子が魔法にかけられた際に「連帯責任」で魔法に
かかってます。王子は野獣、召使は「無機質」へ。「生物」と「そうでないもの」の差って、やっぱり身分の差なのかしら?
「ポット」「タンス」「燭台」「時計」「カップ」「羽箒」。このへんがメインの召使。
それぞれ「料理人」「歌姫」「給仕長」「執事」「料理人の子供(明らかにとばっちりで魔法をかけられいると思われる;;;)」
「小間使い」。待て?「歌姫」って召使じゃないよね〜それも「ディーパ」なのよ?おそらく城に招かれた時に、魔法に
掛かっちゃった人と思われます。運の悪い人。
さて、それぞれキャラ造形が楽しいです。
燭台は腕の先が蝋燭で、時々(本物の)火がつきます。
ポットは子供のカップが乗った台車を押してますが、その台車、下が「ガラス張り」風。カップ役の役者さんの胴体は
(カップ役は、カップの中から顔を出してるだけで、胴体は出て来ないんです)どこに消えたの?とか。
時計役のお腹の振子はどうなってるの(ちゃんと動いてる)とか。
タンス役の人に至っては、お腹の扉を開け、更に引出しをひっぱりだし、中のものを出す、という芸当まで出来ちゃう。
ベルをもてなす為に、城の召使総出のダンスシーンがありますが、これは華やかで楽しい。
ドアマットは菊丸ばりに横転、バク転を繰り返し、お皿たちはラインダンスをし、キッチン用具やナイフ・フォークも踊りだし
…ベルは「美味しかったわ、お腹がいっぱい」と云ってましたが、あれは「みんなで、久しぶりの客であるベルに食事を
給仕する」というより、「ストレス発散で踊り倒してる」としか〜。ホントにベルの口に入ったのか、大きな疑問でございます。
そのシーンでは舞台両サイドから花火が。しばらく客席は火薬くさかったのでした。
ダンスシーンといえば、ベルにふられたガストンが酒場でクダを巻くところ。
あそこも楽しいです。皆が手にジョッキを持って、それをお互い打ち合わせるダンス。
ジョッキの合う音はおそらく効果音の方で出しているのでは、と思うのですが、みなタイミングばっちり。
ベルは「童話のヒロイン」にお約束な「たいがいな事」を、お約束通りやってくれます。
「入っちゃならないと約束した」場所に入る。こういう主人公は、多少周囲から浮いていても、「良い子」のはずなんですが
必ず「誓い」や「約束」を破るんですよね〜。「良い子」ちゃうやん〜。
ベルを手に入れるために策略を巡らすガストン。このあたりで、ガストンは「人間の姿をした野獣」という感じになってます。
ちょうどその頃の野獣が「人間らしく」なっていくのと正反対。ガストンが自分勝手に動けば動くほど、また野獣が少しずつ
「人との接し方」を知っていくほど、お互いが入れ替わってるような感じです。
さて策略の果てにガストンは、「野獣は人を襲う」と村人を煽り、野獣の城を襲いに行くのですが〜「単なる筋肉馬鹿」かと
思いきや、人の不安心理をつつき、一気に爆発させる手管は空おそろしいもんがあります。
肝心の村人たちときたら、あんなに「大盛り上がり」で城を襲ったくせに、あっさり召使たちに撃退されてしまいます。
〜あのう、箒達(メイドのなれの果てだと思われる)に、あっさり負けちゃう村人ってどうよ?
「貧しいけれど」という表現がつく町なので、ほぼ全員肉体労働してるんじゃないの〜?女の子にあっさり「のされ」まくる
とは!〜そんなに弱いなら行くなよ〜ってまあ、「生きた掃除用具」に襲われたら流石に恐いか。
ガストンVS野獣…なんですが、戦う気のない野獣を追い詰め、なぶってるあたり、やはり「人間」と「野獣」が入れ替って
ますね。あぶなくなったガストンの命を救いながら、助けられた筈のガストンは、後から野獣を刺しちゃうんですね。
その後、足を滑らせて塔から落ちちゃうのです(おそらく死亡したと思われます)。
逆にその傷が元で瀕死の状態だった野獣は、ベルからの「愛の告白」を受け、(召使たち共々)元の人間に戻る事が
出来るのですが、すると塔から落ちて死んだのは、王子の「ブラック」な部分という事も出来るのかなあ。
ラストはベルの父親や、人間に戻った召使たちに祝福されて、王子とベルがダンスをして幕。
舞台を観てるときには気づきませんでしたが、そこでベルがつけてるアクセサリー。スチールで見たら「ちゃち」だった。
もう少し何とかならんのか、と少々不満。
カーテンコールはたったの2回。少ない。さびしい。
もう少しサービスしておくれッ!!
好みは色々あろうかと思いますが、観て単純に楽しいのは「アイーダ」よりも「美女と野獣」かな。
「死んで後世に期待」よりも「今、生きてるうちの幸せ」だよ。
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