■□エリザベート□■
 
 2004.08.12

オーストリアの美貌の皇妃エリザベートの、ストーカーの如く黄泉の帝王につきまとわれちゃう気の毒な半生、という
ストーリーなのですが…ううむ、こう書いちゃうとミもフタも無いわ^^;

さて、このミュージカル。宝塚でも上演されまして、人気がありました。宝塚以外の上演でもやっぱり人気があって、
再演です。上記のようなストーリーであるにも関わらず、ある種の雑誌に取上げられちゃって、その種の趣味のお嬢さんがたが
オペラグラスをひっつかんでおっかけた、という伝説もあり(笑)。なにせ、ちゅーですよ。男同士の生ちゅ−(酒ではないよ)。
それもきっちり「男同士」の設定。決して片方が「女役」なのではありません!
とはいえ、「先入観なしで、清いココロで観よう!」と挑んだこの舞台ですが…幕開け早々のこの台詞で潰えました。ストーリーの
進行役とも云うべきルキーニ(高嶋政宏)が、こう放ったのです。
「ケツほってやろうか」〜夜の部とはいえ、まだ太陽沈んでないんです!外は明るいんです。
なのに、コレですか。
舞台が進行するにつれ、「小池氏(演出家)によるその手のお嬢さんピンポイント攻撃」なところが随所に〜!おいおい語って
ゆくとしますか。

幕開け、舞台の上は棺桶だらけ。そこから登場する「皇后エリザベートと同時代を生きた人々」。
わらわらアヤしげに湧いてきます。あたかもゾンビのように。うぬう、ここはUSJのホラー・ショーか。
周りには黄泉の帝王トート閣下の手下、トート・ダンサーズ(役名。以下トート隊)。
振り付けもかなりアヤシゲ(ダンスが下手というのではなく、振付自体が)。さらに怪しげな彼らの外観。髪の色や形といい、メイクといい、細身の黒いロングコートといい、「お耽美バンド」を彷彿とさせます。親玉トート閣下もゴス風味な衣装で頑張ってます。
私が見たのは山口祐一郎トートだったんですが、パンフレットを見るとこの衣装、ダブルキャストの内野聖陽氏の方が似合い
そうだ。

ここで少しがっかり。オープニングの最後、舞台中央の装置の上部が開き、そこから棺桶が滑り出してきます。その中にヒロイン
「エリザベート」が入ってるのですが〜上部が開いた時、そこで作業する大道具さんが見えちゃう。これはちょっと。
全体を通しても、装置転換の時の音が大きすぎ。これはいただけません。
それから背景に一部、電飾が使われてますが…ううぬ、演出上いるのかもしれないけど、あんまり好きじゃないなあ。

2000年公演の分のライブ盤をもっているのですが、録音されている台詞や歌詞に手を加えられていました。

中身を語る前に、キャストについて。

エリザベート役の一路真輝さん。細い!細すぎや!胸のあたりに骨が!手首の丸い骨も浮いてるよ。実在のエリザベート自身、かなりダイエットに気を使いスリムな体型を維持していたそうなんですが、これも役作りなのか。それにしても細い。

お目当て、トート役の山口祐一郎さん。二つ名『歌うバズーカ砲』(声がよく通る)の真価は2部に発揮。やっぱりコレがないと〜(笑)。迫力ありますよ!…ただ、手の動きがアヤシイっつか笑えるのが(泣)。

ルキーニ役、高嶋政宏さん。失礼な云い方かもですが…予想外によかった。進行役ということで、ほぼ全編出ずっぱりなんですが、安心してみてられます。あの手と腰を使った動きがものすごい(笑)。危険だわ^^;

子供時代のルドルフ。子役4人交代で演じているのですが、本日のキャストがわからない。おそらく最年少の苫篠和馬くんだと
思われますが…かーーわーーいーーーいーーー!癒される(≧ ≦)Ω !

トート隊の面々。ダンスだけでなく、エリザベートのお着替えは手伝うわ、馬車は動かすわ、働きもんな方々です。
お耽美な外見に似ず。


本編。
姉が結婚するはずだったオーストリア皇帝ヨーゼフと、エリザベートは結婚することに。でもね。プロポーズして二人でデュエットしてるのを聞くと「自分の考えしか云うてへん。相手の云う事聞いてへん」なんですね。既にここで「破綻」が見えている。しっかり伏線。

ここで、エリザベート母。姉娘をオーストリア皇后にすべくお后教育を施してたんですが、妹娘が嫁にいくことに。ここで「どっちも私の娘だし(ま、いっか)」なところが凄い。ねーちゃんはどうなるんだ!

結婚初夜。そのシーンで踊るトート隊。ちなみに全員オトコです。頼むから抱き合って床をごろごろ転がってもつれないでくれ〜。これも腐りモン向けなのか。ピンポイント攻撃なのか。

考えてみるとトート隊は「死の天使」的ポジションで大変恐いはずなんですが、もっと恐いのはエリザベートの姑・ゾフィー皇太后とおつきの女官隊(笑)。こわいよ?やっぱり生きた人間の方が怖いということなのか。

エリザベートが死を望むよう、おん自ら暗躍するトート閣下。「オーストリアのハンガリー独立支援者」ってね〜あの時代(19世紀後半 )の衣装の中で、金髪ロン毛のゴス野郎は明らかに怪しいだろう!他にもエリザベートとヨーゼフのパレード馬車の御者やってみたり、宮廷付の医師に化けてみたり、欲しい物を手に入れるためには労を惜しみませぬ。あ、宮廷付の医師に扮してエリザベートの元を訪れ正体を明かす所はちょっと恐いシーン。
労を惜しまない、というのでターゲットとして登場するのがエリザベートの息子・ルドルフ皇太子。多忙な母親を恋しがってる子供時代のルドルフに「ぼくはともだち」とお近づきになっております。ここのルドちゃんがね〜、めさめさ可愛い。大きい本が積まれたセットの中でちょこんと座ってる。動いても可愛い。閣下はここでルドルフを殺しちゃおうか、みたいな動きをしてますが、後のお楽しみ(?)にとっておく模様。そりゃね、幼児誘拐とか虐待はよくないだろう(大人相手でもな)!
大人になったルドルフが「僕は今不安で壊れそう」というと、「傍にいてやろう」。このあたりのダンスシーンは〜何と申しましょうか、明らかに女性パートを皇太子が踊ってまする。トート閣下の「たらし」攻撃で、とうとうルドくんは父・皇帝に反する運動に身を投じ、逮捕されるに至ります。
さて、問題(笑)のシーンはこの後。逮捕されたルドくんは、「ママならわかってくれる(父親といい、この息子といい、親子揃ってマザコンだ)」と久々ご対面のエリザベートに訴えますが、「久しぶりに会うのに判るわけないやん!」な対応を受け、結局自殺するのですが…自殺するに至るとき、苦悶するルド君をトート隊が取り囲んで踊ります。このとき、トート隊は前半と衣装が変わって、タトウー入りの上身に透けた布地の衣装。そんな奴等が踊りながらルド君を翻弄し、あまつさえ「脱がす」。
えええええ?軍服の上着だけとはいえ、脱がすことないやん!(ここで連れのS嬢の問題発言がありましたが、健全サイトなので削除;;;)そしてトート閣下の念入りな死の接吻(ほんとに念入り)を受けるんですね〜客席によく見えるアングルで!たっぷりの時間をかけて!!生ちゅー。

物語は収束へ。
ずーっと別居状態だった夫妻は、結局そのまま。旅先に追いかけたヨーゼフ皇帝はエリザベートを説得するのですが、やっぱりお互い「自分のことしか云うてへん。相手の云う事聞いてへん」なまま。
オーストリアに戻った皇帝の見た悪夢。そこでトート隊の一人。ホットダンス(身体の密着したダンス)を踊ります−−−ヨーゼフ皇帝とな!!うぬう、ここにもピンポイント攻撃か。

最後、ついにエリザベートを我が物にしたトート閣下。ここでもやっぱり「自分のことしか云うてへん。相手の云う事聞いてへん」な感じなんですが〜私だけ?そう感じたの。そしてここで二人の接吻。
ええ、ノーマルモード!なんですが、ストーカーのごとく付き纏い、ようやっと手に入れた相手との接吻の割にあっさりと。ルド君との方が(ごにょごにょ)。

アンコール。名古屋人の粘りを見たね。
まず普通のカーテンコールが終わり、緞帳が下り、オケピの人たちが最後の演奏をし〜で、既にお客自体もお帰り状態。なのに、諦めない。
−−−開きましたよ、幕!
ここで、出演者全員揃った中央に一路エリザが座り、その膝にもたれるように「ちびルド」くん。うはあ、可愛い。
何を思ったか一路エリザ、山口トートを横に座らせ同じように、頭をかかえ自分にもたれさせてました。山口、されるがまま(笑)。っつか両手に花か、一路さん。守備範囲広し。
はい、ここでまたお帰りモード復活。なのに諦めない。場内が明るくなり、「ご来場ありがとう」なアナウンスが流れても諦めない。
−−−また開いたよ、幕!!
今度は一路エリザと山口トートの二人のみ。一路さん、山口トートの腕をつかんで、「ばいばい」と客席に手を振らせてました。ここでも山口、されるがまま(大笑)。


腐ってても腐ってなくても、楽しい舞台でした。大阪公演も観たいな。