■□ジーザス・クライスト・スーパースター□■  (観劇日 2007.10.27)


キリストの最後の7日間の物語。
『エルサレム・バージョン』と『ジャポネスク・バージョン』とありまして、今回観たのは『ジャポネスク』。
登場人物はみな顔を白く塗ったり、或いは隈取り入れてたりしてます。音楽も笛だの鼓だのを取り入れてます。でもジーザスクライスト。

この公演、結構『学校』団体が来ているようなんですが…中学生、高校生あたりはまだよしとして、小学生にはちょっとしんどいんじゃないかと思いました。
それと無くても大して困りはしませんが、ある程度『聖書』を知っておいたほうがいい。基本設定なんで、あえて舞台では「この登場人物はこう」な説明はされてません。たとえば、イエス・キリストやユダあたりの説明は不要としても、仕草で「これは誰」というのが判らない。
たとえば、マグダラのマリアの他に、ジーザスの傍に彼の足を髪の毛でぬぐう女性がいたりするのですが、これが誰か、とか。
…特に知らなくてもいけるんですけどね。
すくなくとも、ジーザスの最後がどうなるかはみんな知ってるので、それを忘れずに観るといいと思います。

さてオープニング。
いきなり白装束のひとたちがずんずんずん、と舞台後方に一列になってやってきます。客席に向かい、一斉に頭に被った頭巾で顔を隠し、装置の下に潜り込むと、装置が動き出し、群衆が飛び出してくる…ですが。
私てっきり、装置の下で衣装を替えて群集になってると思ってましたが違いました。

キャスト表にあるんですね。
『大八車・人力車』。ほんとに。
頭巾の下の顔は、白塗りどころかドーランも塗ってないところをみると、大道具さんというか装置を担当しているひとたちと思われます。
ちなみに大八車。舞台に3台並んでまして、それを動かし場所を変えたり角度を変えたりして、いろんな『見立て』をするわけです。
彼等は上演中、大八車を力を合わせて動かしているってこと。タイミングがずれたら、流れがおかしくなるし、大変だと思います。たとえ大八車の陰にいるにしても、彼らは『出ずっぱり』。

衣装は、基本ジーンズなのかな?上はいろいろですが、群集はだいたい上半身はハダカです。万歳ハダカ祭り状態。

 ・信者がどんどん増えてきて、それに比例して『神の子』ジーザスに対する期待が高まってゆく。
  このあたりは、群集がひたすら盲信している感じ。「一生ついていきます!」ってな熱狂振りが、結末を知ってるだけに空恐ろしいものが  あります。

 ・12使徒の中で、明確に名前が出てくるのはユダのほかにシモン(シモン・ペテロ)だけ。
  だけど、最後の審判のシーンでは名前こそ呼ばれませんが、ちゃんと12人いました(ユダ服含む)。

 ・主役はタイトル・ロールと云うよりユダだと思った。
   連れの某Sさまは「あれ?ユダ×ジーザス度が落ちている…」だそう。私は「ユダ→→→←ジーザス」くらいかと。
  「あなたを愛してる」と連発するユダ。そんなこと云うから深読みされるんだと思う!

  ・ジーザス逮捕のシーン。「自分が接吻した相手がジーザス」と云うユダ。はい、接吻あります。…私が昔読んだ某書では、そこは手に接    吻をしていた。だけど舞台はだけどだけどだけど。そんなことするから深読み…!

 ・「罪なき者から石を投げなさい」も出てきましたが、なんか早口言葉みたいだったよ!

 ・「にわとりが2回なくまでに、あなたは3度わたしを知らないと云うだろう」。これは聖書でジーザスがシモン(ペテロ)に云った言葉。
  舞台でも云ってましたが、「にわとりが2回鳴く」の部分はなし。演出上かしら。だってマヌケな感じもするもんね。

 ・ジーザスが逮捕されるや否や、群集は掌を返したように、彼に石をなげ嘲りますが…うーん、群集心理だなあ。きっと中には信徒もいた  よねえ。

 ・実験を握るのはローマ。王様は名ばかり。そんな王様ヘロデ王登場。それも白い人力車に乗って。これが赤ければ3倍速いのかと、どう  でもいいことを考えてしまう!
   なかなかキッチュで楽しいです。暗いシーンが多い中、唯一明るいシーン。…やってることはナニではございますが。
  みな地味な色彩の衣装の中にあって、錦絵のような感じで!侍らす女性も花魁っつか女郎さん風。歌舞伎っぽく見得も切ったり。くるく  る回す扇子が楽しい。

 ・総督のピラト。彼はジーザスの助命を考えるのですが、結局民衆に負けて「磔」(死刑という法律が無いの  で)に同意してしまう人。
   この人はローマ人。確か奥さんの病気をジーザスに治してもらったため、ローマ人にしては珍しく入信したって人物がいた筈なんですが  …ピラトじゃなかったっけ?うちのどっかに聖書があるはずなんだが!

 ・鞭打ちは39回。ちゃんと記録どおりにやってます。ムチを振るう人も大変だ。

 ・磔シーンは、手や足を釘で打つ音が入ります。うう痛そう。実際は肌色の紐かなにかで十字架に結んでるんだと思うんですが…掌に
  ちゃんと釘が刺さってる(ように見える)んですよね。あれ、どうなってるんだろう。

  あと疑問。手のときも足のときも、釘を打つ回数は大差なかった気がします。けどね、足は重ねて打ってるんだよね。ってことは厚いんだ  よね!…どういうことだ!

 ・ムチで討たれたり、磔にされたりするジーザスを見る群集。娯楽って感じ。日本でも処刑はある種の娯楽っつかそういう時代もありました  けど。特に磔のシーンを見てる群衆は、演出だろうと思いますが、みんな口を半開きの阿呆面になってます。なるほどね。

 ・十字架上で、ジーザスが「主よ、わたしを見捨てられたのですか」のシーン。ここはやっぱり、ヘブライ語でやってほしかった!

  「エリ・サバダクニ」あたりで。

さてアンコール。
たった2回でした。
でもでもでも。
ちゃんと地道に大八車を動かし、人力車を曳いていた「大八車・人力車」の白子のみなさんも出てきてくれて嬉しかった。彼らを称えたい!

そういえば、プログラムで某Sさまが発見しました。
その「大八車・人力車」で出ているひとたちの中に、姓は一緒、名前の一文字が違うだけな二人が並んで載ってまして。
ふたごかな兄弟かなと思いましたです。もっと早く気づいていれば、アンコールのときに「似てるもの同士」を探してみたのに。

で。
いつも舞台の見た目の割りに少人数で回してる四季ですが…地味な割りにジーザスは出演者が多かった。これは驚きでした。