■□モーツァルト!□■                                (2002.11.14) 

さあ、ナマで山口祐一郎氏を観るぞ!市村正親氏のお歌も聴くぞッ!!
リキ入れて観にいきました、『モーツァルト!』。
そして初めての生オケだ、『モーツァルト!』!!踊る指揮者まで観れちゃうのだ。お得だぞ。

ストーリーは幼い頃神童と呼ばれたヴォルフガング(モーツァルト)の、ハンパじゃない才能があったおかげで、彼を支配する
ものから抜け出そうと葛藤する苦悩の人生の物語。うん、こう書いちゃうと身もフタもないね。

このお話、いろんな「対比」で成り立ってます。
「才能と知性」「父と子」「自由と権力」…。
その中で判りやすいのが「人間ヴォルフ(モーツァルト)」と「神童アマデ」。
ぶっちゃけた話、アマデは彼の天才を現してるわけで子供なのです。
だから、舞台のアマデっちゃんは子役で、常にウォルフにひっついてます。台詞なし。
ウォルフくんが悩もうが苦しもうが、淡々と横で作曲してます。それが彼の味方になったり逆に追い詰めたりしちゃうんですな。

台詞ないんですが、かなりコワイくんです。
クライマックスではウォルフを押し倒したり、首締めたりしてくれます。
それも無表情に、曲を書くのとおんなじ感じでやってくれるので、かなり怖いキャラ。ガキンチョな分、容赦なんてないです!
このアマデが子役でなく青年俳優がやってたら…そ〜ゆ〜系のお嬢さん方は泣いてお喜びになることでしょう!

問題の主人公ヴォルフくんはダブルキャスト。中川晃教と井上芳雄くん。私が観たのは井上ヴォルフでした。
背も高いし、音大声楽科在籍だけあって、正統派に歌い上げてくれます。お上手です。
ヴォルフ。「音楽家、音楽出来なきゃただのアホ」みたいなヤツです。「永遠の童子」とかモーツァルトは云われてるようですが、
云うのは簡単、面倒見る周りの身にもなってよッ〜的ですな。
常に「僕は他の人とは違う」「才能がある」…と言い続けてますが、才能ありゃいいってもんじゃないだろうッこらッ!

さてさて。「歌うバズーカ砲」「歌王」の異名(?)を取る山口祐一郎氏(『利家とまつ』で佐々役でした)。
演ずるのはモー父子が仕えるザルツブルグの領主「コロレード大司教」猊下。
知性のかたまりのはずなのに…!楽しませてくれました〜睨下!何せ男性出演者の中で最も華やかな衣裳!
ライトが当たると一人ミラーボール状態。楽しいぞ。
ガウン一枚で出てきた挙句、ヴォルフに「調教が必要だ」と言ってみたり(わはは)。
怒りをヴォルフにぶっつける辺りでは、台詞(唄)にすべてビブラートかけちぎってくれたり。
そして回を重ねる毎に「グレードアップ」していると評判の「猊下、もよおすシーン(笑)」。
馬車で移動中、もよおされた睨下は舞台の上で×××。
便器にむかっていく猊下!中腰で脚は内股、よろよろと移動し、用を足しながら部下に指示を与えます。用を足しながら、
ひょいっと衝立から顔を出してみたり。
最後は衝立けり倒して仁王立ち!迫力あります…後に便器さえなけりゃな。
このシーン、大阪では水音がするのですな。といっても「やってる」音ではなく(当り前だ)、下僕が洗面器に手洗いの水を
用意しているだけなのですが、東京のライブCDを聞くと「水音」はありません。ねえ、何で〜?

ウォルフの悪夢の中の仮面舞踏会で、仮面をつけて登場する猊下。
はい、仮面しててもすぐ分かります。何せ、彼の身長は190センチを超えているので、他出演者より頭一つくらい大きい。
仮面、いらんっちゅうねん。小道具代の無駄やっちゅうねん。

ウォルフの父、レオポルド。演じるのは『ミュウツー』市村正親氏(ポケモンで特別出演してた…)。
息子に執着するお父さん。息子が天才じゃなかったらどうすんねん!なお父さん。
やっぱ歌うまいよ、市村氏!ほれぼれです〜♪
でね、台詞とちったのを発見。「息子」と「娘」を間違いかけ。えらい違いだぞ、お父さん。
ラスト近くに仮面を被ったお父さん(その時点ではお亡くなりになってます)が、ウォルフに「レクイエムを書け」とやって来る
のですが。
ええ、仮面といい台詞と言い、「オペラ座の怪人」を連想(またかよ〜山口氏にも連想させるシーンあり))!
市村氏、劇団四季在団中に「ファントム」演じてらっしゃるので、余計にな。
年老いてリウマチを患った辺りでは何気に脚を引きずってみたり。それも最初「?」と思うのですが、後で台詞でちゃんと
出てくるんですわ。

そして嬉しい誤算。
実は女性キャストにはあまり期待してなかったのですが、なかなかのものでした。
高橋由美子(モーツァルトの姉)も松たか子(モーツァルトの妻)も。勿論、久世星佳も。
アンサンブルも聞きごたえあります。

カーテンコール。
なんだか男爵夫人にセクハラ親父なことをしていた猊下。
にもまして。
苦悩するおと〜さん役で「おさえて」「おさえて」「おさえたおした」演技だった市村氏。
出てくるなり、可愛らしくピョコンっと礼してくれるわ、おりる緞帳の隙間から(しゃがみこんでまで )手を振りちぎってるわ、
で楽しそうでした。
緞帳の前でアマデとウォルフ二人だけのカーテンコールもあり。
既に素だもんで、井上ウォルフ、アマデを引っ張りまわす・振りまわす・だっこする…好き放題でしたな。

ちなみに今回の客層。
圧倒的にっ!女性が多かった…。